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中国製56式歩槍 AK-47のパクリ? それとも?

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中国製56式歩槍、恐らくあまりいいイメージを持たない人が多いと思われます。
一昔前の「安かろう、悪かろう」のイメージが捨てられない方も多いのではないでしょうか。
AK-47のパクリ、所詮は偽物…… そんな雰囲気があります。

そこで今回は「56式歩槍の概要」「56式歩槍の輸出例」について簡単に書かせていただきます。 読み終わる頃には56式歩槍のイメージも変わっているかも?

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56式歩槍の概要

56式歩槍はソビエト連邦ミハイル・カラシニコフ氏が開発したAK-47突撃銃を中国兵器工業集団有限公司(China North Industries Group Corporation 略してNorinco)がソビエト側のライセンスを得て生産したものです。 初期はサブマシンガンの一種として扱われており、名前も56式冲锋枪でした。

つまりちゃんと許可を得て生産していたモデルなんですね。

ではなぜ無許可云々の風潮が出るのでしょうか? それはソ連と中国の仲が険悪化した中ソ対立が原因にあります。


1950年代後半、ソ連と中国はイデオロギーの違いから対立を強めます。60年代以降は特に対立を強め、実際に戦果を交えることもありました。
従ってソ連は中国へ兵器を売ることを中止します。仲の悪い人には物をあげない、当然ですよね。
しかし中国はソ連製兵器をコピーすることで兵器を揃えることにしました。
当然、無許可です。そこに批判もあるかと思います。しかし自分は「致し方ない」と考えます。

当時の中華人民共和国は技術力がない国でした。更に独立して間もないのに国土は大きく、周辺にはイデオロギーの対立によって起こる火種が沢山あります。そこで国を保つためになんとしても兵器が必要。と、なると当然完成されたものをコピーするのが一番手っ取り早いわけです。

賛否両論あるかもしれませんが、現在の中国人民解放軍の戦力はこういったややダークな土台があってこそ発展したと言えるでしょう。



56式歩槍の輸出例

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正直に言うと、キリがありません。
スリランカフィンランドに…… と指がいくらあっても足りないほどです。

そこで56式歩槍をコピー生産している(た)国をいくつか紹介します。
コピー生産品のコピー生産品というややこしい分類になりますね。


アルバニア ASh-78
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アルバニアは冷戦下、東欧諸国では珍しく中国寄りの姿勢を取った国のひとつです。
従って装備も中国式に範を取り、中国の56式歩槍をASh-78としてライセンス生産しました。
しかし現在のアルバニアは西側よりの装備を導入しており、ベレッタARX-160等の最新鋭装備も見受けられます。

イラン KL-7.62

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イラン・イスラム共和国も56式を配備している国のひとつです。
KL-7.62として国産化も行っているようですが、ライセンス実態が不明、一部では無許可との説もあるとのこと。
イランは軍そのものが謎の多い組織のため、まだまだわからないことが多いようです。

スーダン MAZ

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スーダンは日本では馴染みがないかもしれませんが、なかなか戦火が絶えない地域の一つです。
56式歩槍をMAZとして生産しており、一部ではゲリラなどに供与しているという話もあるそう。

バングラデシュ টাইপ ৫৬

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日本と国旗の雰囲気が似ていることでどこか親近感のあるバングラデシュも56式を採用、生産しています。
バングラデシュは伝統的に中国製兵器を多用しており、現在も主力小銃は中国の81式歩槍を国産化したBD-08を採用しています。中国としてはお得意様といった感覚なのではないでしょうか。



マニアの方には単純で面白味のない解説になりましたが、56式歩槍の魅力を少しでも伝えられたら幸いです。 それでは。