ライフル弾を使うサブマシンガン? AKってサブマシンガンなの? 弾薬だけで決められない銃器事情
やや煽るようなタイトルになりましたが、まず最初にサブマシンガンの定義を確認します。
基本的なイメージとして「拳銃弾を使用する連射可能な小火器」というものではないでしょうか。
そしてAK-47は「サブマシンガン」ではなく「アフタマート」というソビエト・ロシア式の区分に分けられます。アサルトライフルに類似した区分です。
なんだ、ならサブマシンガンじゃないじゃん! とお思いの方、実はここからがややこしい銃器の事情があるのです。
ソ連製AK-47はアサルトライフルだけど中国製AK-47はサブマシンガン?
AK-47はアサルトライフルという思想が定着していく過程で産まれた、アサルトライフルの中でも相当古い銃です。その番号47は1947年を意味するところでありますから、70年以上前の存在なわけです。
当然、AKを採用する周辺諸国軍は「アサルトライフルって何?」と思うわけですね。まったく知らない存在、未知との遭遇、あれ、でもドイツ軍がそんなの使ってたような…… といった感覚でしょう。
そこでAKやそれに近いライフルを短機関銃として採用する国があったのです。
例として
東ドイツはAKをMPi-K つまりカラシニコフ式短機関銃として生産。
ルーマニアはPistol Mitralieră model 1963 1963年式短機関銃。
そしてお隣の中国では56式冲锋枪、すなわち1956年式短機関銃として採用しています。(後に自動歩槍に再分類)
AKだけじゃない!?
サブマシンガンのややこしい実情
AKをサブマシンガンとして見る動きもある、ということがお分かりいただけたかと思います。
が、しかし 実は西側もアサルトライフルの定義が曖昧だったために生まれたアサルトライフル弾を使うサブマシンガンが存在します。
それがこのK1短機関銃です。日本のお隣の国、韓国が設計した銃です。
弾薬はアメリカのM16や日本の89式小銃と同じ5.56mm弾。自動小銃の弾であって拳銃弾ではありません。
ではなぜこの銃がサブマシンガンとして見なされるか?それはこの銃がM3サブマシンガンの後継として開発されたという経緯があるためです。
あくまで役割でライフルかサブマシンガンかを決めた、というわけですね。
また、有名なM16ライフルを作った本場アメリカでもM231 FPWという車輌に搭載する特殊な銃も5.56mm弾を使うにもかかわらずマニュアルではサブマシンガンとして扱われました。
つまりサブマシンガンの定義に拳銃弾を使うか使わないかは絶対的なものではない、というわけですね。
一概に定義は決められないけれども……?
簡単な見分け方があります。
「軍隊や会社などがサブマシンガンと言えばそれはサブマシンガン、アサルトライフルと言えばアサルトライフル」
あまりにもぶっきらぼう? でもこれが確実な区別の仕方です。
例としてセルビアのツァスタバ社は自社製のM21という銃について「M21はアサルトライフル型とサブマシンガン型があるよ」とサイズなどの違いで分類しています。
出典:ツァスタバアームズ社公式サイトAssault Rifle M21 S | Zastava-arms
「これってサブマシンガンなの? アサルトライフルなの?」と思ったら会社のホームページやマニュアルなどを探すのが一番の最適解なのかもしれませんね。